逮捕体験談

※原文をそのまま掲載しております。

大阪・持手板 素腰(仮名)の場合

とにかく突然でした。

ある朝、仕事に行こうとマンションを出ると、前に止まっていたワゴン車から2人の男性が降りてきて、「◯◯◯◯君か? 警察やけどな、ちょっと車に乗って」と言われました。

車の中には4人の刑事がいて、大麻所持の疑いに関するガサ状(捜査令状)を僕に見せたのです。

最初は体と持ち物を調べる令状でした。

しかし、これから仕事に向かうところだったため、当然ながら何も持っていません。

調べ終え「もう行ってもいいですか」と聞くと、「まだあるんや。これ、家の中を見てもいいっていう令状な」と、いわゆる家宅捜索
令状を見せられました。

そのまま家に入り「あるんやったら先に出して」と言われ、素直に差し出し、その場で現行犯逮捕

まずは48時間の拘束です。

初日は大筋の流れを中心に、大麻の出所などを聞かれました。
これはそんなに厳しくありません。

僕の場合、人からもらったもので、その人の残したメモも一緒に押収されたので、その人も翌日に逮捕されたのです。

共犯関係にある相手との供述が一致しないといけないので、その人とのやり取りに関してはほぼ正確に話しました。

あと、連行されてすぐに小便の検査もされました。

これは大麻反応を見るためもあるのですが、本来の目的は覚醒剤を使用していないか調べるためです。

僕は覚醒剤はやらないので、もちろん何の反応も出ませんでしたが。

2日目は裁判所に連れて行かれ、その場で10日間の拘留請求がなされ、そして受理。

共犯がいる場合、接見(面会許可)がつかないこともあるのですが、僕が持っていた大麻の共犯は逮捕されたため、接見はつきました。

そこからはひらすら取り調べです。

取り調べか留置場の中にいるか、そのどっちかですから。

所持していた大麻に関してはほぼ正直に話しました。これは会話の中で出てきたすべての出来事に関する日時場所、その場にいた人、そのときの会話の内容など覚えていないようなことまで事細かに聞かれます。

しかし、調べが厳しくなったのはその後です。

要するに、大麻に関する交友関係をすべて話せというものでした。

容疑者にはすべて黙秘権があるため、暴力的な脅しは全くありません。

ただ、僕の場合は初犯で量も少なかったため、起訴されても保釈で出られる可能性が高いのですが、それを刑事がちらつかせるのです。

「わしらはお前の周りを根こそぎ内偵してたんや。ある程度のことは分かって聞いてるからな。変に隠し立てしたり、誰かをかばったりすると保釈は無理やぞ。証拠隠滅の恐れがあるからな。それを分かった上で言いたくないんやったら言わんでもええ。
まあ黙ってたり嘘ついたりすると反省の色が見えへんってことで、保釈どころか執行猶予もつけへんこともあるわ」
と。

さすがにこれはこたえます。

もちろん今から思えば、これはあからさまにカマをかけてるわけですが、当時は突然の逮捕で気が動転していた上、精神的にも参ってしまって真に受けるのです。

それに僕のことが誰から漏れたのか、また周りで誰が捕まってるのかも分からないのですから。

何とか「知らない」で通せたのが、今考えても不思議です。

普通、少量の大麻所持・初犯で逮捕された場合、逮捕>48時間+10日間拘留(もしくはもう10日間延長)>起訴>保釈を申請>2〜3日中に釈放>1〜2ヵ月で裁判>執行猶予となります。

大麻所持の保釈金の相場は150万〜300万円、私選の弁護士費用が50〜100万円。

国選の弁護士は無料ですが、裁判の手続き業務のみしかやってくれず、保釈申請などもやってくれないそうです。

保釈金が用意できない場合や、さまざまな理由で保釈が認められなかった場合、裁判までの1〜2ヵ月を拘置所で過ごすことになります。

そんな不安を抱えながら刑事の調べを受けるわけです。

取り調べのための拘留中は、調べ以外にすることがありません。

しかも、その調べも毎日あるわけでなく、ほとんど留置場にいることになります。

これがまた苦痛なのです。

4畳ぐらいの部屋に、強盗傷害の人と2人でいたのですが、本を読むか寝るか喋るか、この3つしか出来ないのです。

他の房も含め逮捕されてる人は、ヤクザ、覚醒剤、傷害、窃盗がほとんどです。

食事も鬼のようにまずくて量も少なく、例えばグリーンピースのみが入ったベチャベチャのすし飯のみとか、ご飯とコロッケ1個とか、そんな感じです。別料金で弁当を頼むことも出来るのですが、これもまたまずいのです。

そしてトイレには窓ガラスがはめ込まれています。これは自殺など、へんなことをしないようにとの処置らしいのですが、大きい方をするとき全然落ち着きません。

その他、何もすることがないのに7時起床9時消灯の徹底、シャワーが週1回、湯船につかるのが週1回と、とにかくストレスが貯まる毎日でした。

僕は吸わないのですが、たばこを吸う人は毎朝2本だけ吸うことができます。

あと、これは出てきてから知ったことですが、接見がついて面会ができる場合、面会する側がその日の朝に電話で予約を入れるのですが、例えば検事調べやシャワーなどを理由に、頻繁に断られるとのことでした。

刑事による調書、大麻やパイプなどの鑑定(実際に本物の大麻か、また実際にパイプから大麻を使用した反応が出るかなど)がすべて終わると、今度は検事調べがあります。

刑事に喋った同じことを復唱するだけなのに、これがまた怖いのです。

刑事はまだ人間的な喜怒哀楽をあらわに調べを進めるのですが、検事の場合淡々と機械的に、しかも細かく聞くのですから。
僕の場合、検事が標準語だったため、よけい冷酷に感じたのでした(笑)。

結果的には10日間の拘留期限が切れる日に、起訴猶予で釈放されました。

起訴猶予、僕の場合は実質的には不起訴で、これはどういうことかというと、事件として立件しないということです。

なぜ起訴されなかったのか分かりませんが、とにかくホッとしました。

ただ、共犯で逮捕された人がその後拘留を延長されて、今もまだ留置場にいるのが気がかりです。

大麻を使用することが悪いとは、今も全く思ってません。

ただ、あまりにリスクが大きすぎます。

僕の場合は何とか職場に復帰できましたが、何の連絡もなく突然2週間、保釈されなかった場合は2ヵ月ほど休むわけですから、普通はクビになるでしょう。

仕事仲間にも多大な迷惑をかけることにもなります。

しかもそれは、執行猶予がついた場合です。

売買目的でない大麻所持の場合、懲役5年以下です。

これは業務上横領と同じだそうです。

会社のお金を何千万もネコババした人と、たった数グラムの大麻を持っていた人が同じ罪ですよ。

「自分だけは大丈夫」。

僕も逮捕される直前までそう思っていました。

警察って言われても、令状を見せられるまでまさか大麻だと思わなかったほどです。

僕はほかのドラッグは一切やらないし、大麻にしてもそんなに頻繁に使用するわけでもなく、またクラブなど外で使用することもありません。

前科もなく普通に会社で働き、普通の日常を過ごしていたのです。

怪しい人間とつながっていたわけでもないのに。

それがある日突然逮捕されたのです。

僕の経験が、さまざまな立場にある人のお役に立てれば幸いです。


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